劇団自由人会「ふることふみ」芸文センター公演を観劇。

「ふることふみ」つまり古事記なんだけど、こんなとてつもない神話…。壮大で、ハチャメチャで、かつアレルギーな題材。さ、どう舞台化するのか。興味深々。
71名のキャストと30名に及ぶスタッフ陣。
幕開き。舞台上手・下手に稗田阿礼(ヒエダノアレ)と太安万侶(オオノヤスマロ)が立つ。古事記は稗田阿礼の語りを太安万侶が筆写したと伝えられるので、この二人を狂言まわしにしている。演出、なるほど。
お話はイザナキとイザナミによる天地の始まり淡島の誕生から神々の創生、火の神ヒノカグツチとの戦い、イザナミを追って黄泉の国めぐり、そして2幕からイザナキの子、アマテラスオオミカミとスサノオが中心となり、高天原の暗黒、天岩戸、出雲の大蛇退治とスペクタクルな展開となっていく。
今回の舞台は大蛇を退治したスサノオとアシナズチの娘クシナダヒメが結ばれたところで大フィナーレとなる。古事記の上巻の約三分の一であった。休憩入れて2時間15分。注目の大蛇(ヤマタノオロチ)は石見神楽のホンモノ。
神様が次々と出現し、天衣無縫というか支離滅裂なる日本神話だが、無理やり繋がる話なのにすごく面白いのだ。それに木村知之さんのオリジナル曲と、音響効果、スモーク、照明、ドライアイス、でかい多くの装置展開の中、ベテラン、新人役者が鋭い角度のセリフを吐く。スーパーロマンテックシアターや。
私、古事記など中学生程度の知識しかないのにこの芝居、スッと身近く入ってきた。多少稽古不足?も感じたが、カーテンコールの大きな拍手はこの公演の大成功を表していた。
それにしても、日本の神話、意外に舞台向きかも、と思ってしまう。かって「日本誕生」という映画を見た記憶があるけど、生の舞台で見るスペクタクルは映画より「お得な感じ」するのが案外、現代に生きる人かと。
昼・夜の2回公演。私はどちらも観劇。客席は共に7割6分くらいの入り。平日としては上々。
劇団自由人会は今回の「ふることふみ」に「愛と冒険の物語」とキャッチコピーを付けた。古事記といっても日本人の祖先が連綿と語り継いで来た架空話の部分であり、古事記編纂の成立事情、国家統治と政権の正当性、民衆の教化など一切暗示もされない舞台であった。そして、演出ふるかわさんの言葉、「このお芝居を見る若い人々に、--どうもピンとこなかった--とは言わせぬつもり」が、かっこいい言葉になった。
聞くところ、続編の企画もあるとか…、ならばいっそ、劇団自由人会の「私達版・逆三角形の日本神話」を創作されたら…。ト。期待。
次回「ふることふみ」公演は2012年10月13日(土)18:30~開演。
淡路夢舞台・野外劇場
(管理人・M・Y)
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